投稿日時:2015年8月1日 カテゴリー:コラム
現在の音楽業界の事情を少し書きます。
音楽業界の不況
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人件費や宣伝費など膨大にかかるメジャーこそ大変
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インディーズのが時代に合ってる
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インディーズのが儲かる!!!
上記は正しくもあり間違いでもあります。今回は曲提供側の視点で書きます。
ブレイク前のメジャーアーティストへの作詞や作曲提供はお金になりません。「編曲」はアレンジ料が出ますが、作詞作曲の収入は印税だからです。「買取」という仕組みもありますが(この辺はまた後ほどのコラムで)。
とは言え、非常に知名度があったり売れているアーティストなら現在も印税は見込めます(昔と比べたら当然下がっていますが)。
インディーズへの提供は、「◯◯万円で1曲作れます」というのが大半。
ブレイク前のメジャーアーティストの印税よりはまとまった額を頂くので、メジャー提供するよりも安心できます。
<牛丼屋並みの価格競争>
メジャーが不況でもインディーズが潤っているならクリエイター的に問題ないでしょ?
という事は全くありません。
セミプロ、昔プロだった人、現役プロがインディーズ業界で沢山活動する事になり、下記のような現象が起きます。
- インディーズ業界にクリエイターが増える。
↓ - 価格競争が起きる。
↓ - 質の悪い超安価で請負うクリエイターが生まれる。
↓ - 「依頼者は安い方を頼む=質の低下」、「低価格が一般化=質の悪い作品が増える」
↓ - インディーズ業界全体の質が落ちる可能性も生まれる。
現在、クライアントとクリエイターを繋ぐ為のサイトが複数あります。簡単に説明しますと、ネット上での楽曲オーディションに近いです。
偶然、顔見知りのインディーズの歌い手の楽曲オーディションを見たら、採用の報酬が作曲編曲で1万円でした。作曲と編曲両方やって、しかも指名ではないのにです。
個人マネージャーや仕掛人がいると思うのですが、そういう人がいて1万円レベルの曲を集めてるって本気で売る気あるの?と疑問でした。
その後、その歌い手の曲をネットで聴くと酷かったです。インディーズの中で比べても低品質でした。
お金の有無は生死に関わる。牛丼は食べ物なので生死に関わる。だから一定の金額内なら必要な物です。
でも音楽は違います。いらない音楽は無料でもいらないものとして扱われます。
過剰な価格競争は消耗戦。悪い傾向です。
いずれ反作用が起き、質を求める可能性もあります。しかしそれがいつ来るかわかりません。その頃に業界がしっかり生きていなければ手遅れです。
メジャーの不況が解決すれば悪循環は大きく軽減するかもしれませんが、まずは目前の現実に対処しましょう。
初回やお付き合い始めは価格を下げ、その後は適正価格に戻すなど、王道の手段でも構いません。
クリエイターは安さだけに走らず、品質向上や付加価値を生み出す。依頼者側は、「いらない音楽」とならない様に質への意識を高く保つ。これらだけでも悪循環は軽減されると思います。